2012年11月4日日曜日

日本とNZ児童文化交流報告 第3弾 ワークショップの1日


9月7日(金)
ウェリントンの郊外にあるチャルトンパーク小学校で、1日がかりのワークショップをおこなう日は、朝から強風が街中に吹き荒れていました。
ウェリントンの街は強風が吹き荒れることで知られています。そんな悪天候のなか、安全な道を選んでやっとのこと学校に到着すると、アン校長先生と担任のローズ先生が笑顔で出迎えてくれました。

ワークショップが開催される体育館に移動し、そこで私たちを出迎えてくれたのは、きちんと整列した子どもたちでした。私たちのために、マオリの歓迎のハカ(民族舞踊)を披露してくれました。緊張感が漂うはりつめた空気のなか、大きく力強い身振りや迫力あるマオリ語の歌を披露してくれました。そして、きっとたくさん練習したであろうとても上手な日本語の歓迎のスピーチと、鼻と鼻をくっつけておこなう最も親しみをこめたマオリの挨拶で出迎えてくれました。子どもたちが、心から私たちを迎えてくれている事が伝わってきました。


まず最初に、西森先生から「大きなジャンボTシャツが30人で1つになる構成であること。」「そのためには、大きい小さい絵があり、それらがリズムをもってバランス良く、みんなの絵が1つに成らなければならないこと。」を子どもたちに伝えました。

ワークショップで使う真っ白なジャンボTシャツの布地は2m40cm x 8mもあります。最高の作品制作が出来るようにと、担任のローズ先生がはるばるオークランド市から取り寄せて、準備してくれました。その布をタテ2m40cm×ヨコ約4mにしたジャンボTシャツの裏表に描きます。


 4時間という短い制作時間のなかで、子どもたちがどれくらい創造力を発揮し絵が完成できるか。行く前から、少しドキドキはしていましたが、そんな思いを吹き飛ばすほど現場に強い西森先生、現場で指導の力を発揮していきます。


子どもたちは、Tシャツの表と裏に分かれ、それぞれアクリル絵の具とマーカーで制作を行います。子どもたちの一生懸命さには目を見張りました!ランチタイムやお昼休みも惜しんで、すぐに制作を進めるために体育館に戻ってきました。また、自分の絵が完成すると、助けを必要としている子どもの絵に参加したりと、その姿はまるで西森先生が最初に子どもたちに話した「みんなの絵が1つにならなければいけない」ということを、子どもたちが心から理解している証でした。



完成に向けての作業のため、何人かの生徒は下校時間を延長して残ってくれました。そして日本語の先生や図書館の先生も集まり、子ども達の世話に手を貸してくれました。完成した瞬間、あまりにうれしく「ワォ!ワォ!ワォ!」とみんなで喜びを表現しました。


西森先生の指導を観た、ローズ先生から、「どうしてこんなに情熱を込めた指導や活動を続けられるのですか?」と聞かれました。「子ども達の未来や芸術を深く思う時に、情熱が込み上げてきて、どんなに大変でもいろんな方の力を頂いて、がんばることが出来るんです!」と答えると、ローズ先生も「私もです。アートと子どもへ情熱が、私の一番の原動力ですよ。」と笑顔で笑い合いました。



子どもの創造力を導くICFAの活動、情熱を持って子どもたちの指導にあたる西森先生の姿に、ローズ先生はじめ小学校の先生方が深い理解を示してくださり、とても協力的にサポートしてくださったお陰で、短い時間にも関わらず、子どもたちの創造性を引きだし、両国の象徴がイキイキと表現され、調和のとれた作品が完成しました。

マオリの文化の中から、ニュージーランドの山から顔をだす太陽、伝説の英雄マウイの太陽の速度を遅らせる話し、マオリのお面、神話の生き物、ワカ(カヌー)が描かれました。日本の象徴として、日本の奴だこがウェリントンの風の中を飛び、団扇や駒が描かれました。ユーモア溢れるフルーツのキウイを食べているキウイ鳥や、フカフカのブーツをはいたキウイが、羊と遊んでいます。また、世界的に有名なニュージーランドのラグビーですが、空中を飛んでいる躍動感溢れる試合の様子も描かれました。

両国の友好の作品制作のために、遠いニュージーランドまで来て、沢山の出会いがうまれ、世界を照らす様な明るくパワー溢れる作品が完成しました。