2010年12月27日月曜日

イベント報告「小さな造形の旅〜ガラス制作体験」 Part3

チーム1が吹きガラスに挑戦している間、チーム2は「エングレービング制作体験」に挑戦しました!
先端部分に小さなダイアモンドの粒が付いたリューターという機械を使って、既存のグラスを削って絵を描きます。


どんな作品が出来るかな!?
まずは機材の使い方を、イゲタ先生や野口先生から教えて頂きました。


こちら、サンプルとして飾ってあった、工房のオリジナル作品。


ガラスの器に観葉植物を入れ、『iGLASS STUDiO』工房の絵とそのまわりの自然が、ぐるっと一周に描かれている、ストーリーのある、楽しい作品です!


試し削りを終え、いざ絵を描こうという段階になると、、、
何を描こうかな~!!!!と戸惑いの声が!
そこで、名誉会長の西森先生に、特別指導をして頂きました。
まずは、描く題材を探しに、たくさんの植物がある工房のお庭に出てみました。視点を変えてみると、絵のアイディアがたくさんみつかりますね。


ガラスの器に下書きをして、いよいよ本番です。やってみると、歯医者さんの機械のように、キィーキィーと音をだして、ガラスを削ります。その線がなかなか思い通りにならないので、これが結構難しいのです!その分、柔らかい線が描けて、出来上がってみると、どれもすばらしい作品でした!


両チームの制作体験が終わった頃、お昼ご飯の用意がちょうど終わり、みんなでお昼の時間です。野菜たっぷりの豚汁、おにぎり、サラダ、柿を用意し、いただきます~!


大人気だった、豚汁。冷えた体が暖まりました。



おいしいお昼ご飯を食べて、引き続き午後の制作も頑張ります!
次のブログ記事では、チームを交代して行った、制作体験の様子をお伝えいたします!

2010年12月20日月曜日

イベント報告「小さな造形の旅〜ガラス制作体験」 Part2

デモンストレーションで、ガラスの変化を見学したあとはいよいよ2チームに分かれて制作体験に入りました!

チーム1は、吹きガラス体験に挑戦!
まずは、どんな作品を作りたいか、五十嵐さんとイゲタさんに相談です。
吹きガラスの完成作品のなかから、自分のイメージしている形や色の希望を伝えます。
イメージした色ガラスを準備して、いよいよ溶解炉よりガラスを巻き取ります。

800度で溶けて真っ赤に光っているガラスの中に竿(さお)をいれ、ゆっくり回転させます。
溶解炉の中はとてもまぶしく、また立っているだけでも熱がムンムンと伝わってくるので、素早い作業が求められます!
みんな、緊張しながらも上手にガラスを巻き取っていました!



竿(サオ)に巻き取ったガラスが熱いうちに、「溶解炉」の横に設置された分厚い金属のテーブル「マーバー」の上に、事前に選んでおいたフリット(色ガラスの粒)を巻き取っていきます。ガラスにガラスの粒を巻き取るのですが、例えるなら、小さなお菓子のつぶつぶを、水飴に巻き込んでいくような、感じでした。



フリットの粒はたくさんの色がありました。

フリットの粒を巻きとった後は、元々のガラスの下玉と温度が均一になるように、あぶり直します。
こうすることで、埋め込まれたガラスの粒が透明なガラスと一体化するのです。



そして、十分にガラスが熱くなったところで、作業をする「ベンチ」に座り、「紙リン」という水にひたした新聞紙を片手に持ち、ガラスの形を調整します。新聞紙と聞いて、熱くないかな!?と、一瞬心配しましたが、ちゃんと折り方まで決まっていて、分厚い布のように頑丈なので、まったく熱を通しませんでした!


五十嵐さんのリードで、「吹き竿」から息をいれて、ガラスをふくらませます。
みんなドキドキしながら、慎重に、時に大胆に息を吹き込んでいきます。
柔らかいガラスが重力で下に垂れてしまわないように、形が均等になるように、「吹き竿」を五十嵐さんが回転させてくれています。


十分に息が吹き込まれたところで、こんどは「はし」という鉄の道具でくくり、くびれを作ります。
これがのちに竿を取り替える(違う竿に移しかえる)時に重要となるのです!



作りたい形がなが細い場合は、重力を利用して、竿を下に向けてもっていることで、柔らかいガラスはどんどん下に伸びていきます。こんな風に、竿を持つのです!!!


そして、最後に「パドル」という木の板を押し当てて底になる部分を作り、下半分がイメージした形になったかどうかチェックします!



イメージどおりになっていれば、めでたく下半分が終了です。

下半分が出来上がったものをこんどはポンテ竿という穴のあいていない棒にガラスを少し巻き取ったものをつけ、
竿渡しをします。(竿を交換し、今度は上半分を作業するためです)
底にポンテ竿をつけたら、「ピンサー」という大きなピンセットのような道具を水につけ、先ほど作ったくくりめに水を垂らします。(こうすることで、ガラスのこの部分に大きな歪みを作るのです。)


水を垂らしたあとは、ピンサーで竿を”コツン!”とたたくとあら不思議!!、くくりめからガラスがパカっと割れて、ポンテ竿のほうに移りました。

今度は割れた口を火であぶり、やわらかく溶かしていきます。適度な柔らかさになったところで、今度は「はし」を口にいれ、徐々に広げていきます。

少しつづ口の形が変わり、自分のイメージした形に近づいたかどうかを判断します。無事にイメージしたものの形になったところで完成です。



完成後は徐冷炉という、電気炉の中にいれ、丸一日かけて常温までゆっくり冷まします。


明日の夕方に無事にみんなのつくったものができあがっているか、ドキドキです!!こうして、行程を書き出してみると、こんなにたくさんの作業があったのかと驚きます!でも、やっていると作業は一瞬なんですよ。

次回の記事では、エングレービング制作体験の様子をご報告いたします!

2010年12月12日日曜日

イベント報告「小さな造形の旅~ガラス制作体験~」Part1



お待たせ致しました!11月23日(火・祝)に開催された、ICFA行事「小さな造形の旅~ガラス制作体験~」の様子を写真とともにご報告いたします。

「小さな造形の旅~ガラス制作体験~」
さわってみよう!ふくらませてみよう!ガラスってどんなだろう?!
Part1 ガラス工房に到着、デモンストレーションを体験

集合場所の横浜・東神奈川駅を出発し、いざ!千葉県・成田市『iGLASS STUDiO』へ向かいます。
都会を抜けると、車窓の景色がどんどん自然豊かな田園風景へと移り変わり、木々の紅葉を眺め、気分はすっかり「小さな旅」です。川沿いの小さな道に入ると、素敵なサインが目印の工房『iGLASS STUDiO』に到着しました。



早速、『iGLASS STUDiO』の五十嵐智一さん(ガラス作家)と、野口和美さん(ガラス&革作家)が笑顔で迎えてくれました。今日なにをやるのか、指導いただく五十嵐さん、野口さん、イゲタミレイ(ガラス作家)さんからお話があり、参加者同士の自己紹介を行いました。


ガラス制作がほぼ初めての参加者のために、イゲタミレイさん編集のガラス制作体験の特別しおりが配られました。私たちが初めて目にする不思議なガラス工房の設備や道具が、イラスト付きで丁寧に紹介されています。また、ガラスの原料、どんなガラスの造形・加工があるのかまで詳しく解説されています。


まずは、五十嵐さんと野口さんから工房設備の紹介、作品の紹介をして頂きました。
十分に気をつけないと危険が伴うので、真剣に耳を傾けました。


工房では五十嵐さんと野口さんの作品が飾ってありました。この大きなガラスのカエルも指輪も五十嵐さんの作品です。どうやって制作したのか、みんな興味津々で観ました!




【どんなものがとけているのかな?】
この工房のユニークな点として、ガラスの原料に「蛍光管カレット」という使い終わって廃棄された蛍光灯のガラス部分だけを取り出し砕いたもの=リサイクルガラスを使っている点です。そして、いよいよそのガラスの原料が高温で保たれている「溶解炉」を覗かせて頂きました。
「溶解炉」のなかには、陶で出来て大きな容器(るつぼ/ポット)が入って、その中でガラスが溶かされています。サングラスをかけて高温の「溶解炉」のなかを覗いてみると、まるで水のような透明な液体が見えました。
ガラスを800℃くらいで溶かしてキープしているので、液体のようにドロドロになっているのですね!



【体験1】
まずはデモンストレーションの見学を行いました。
「溶解炉」の「巻き口」と呼ばれる扉から、竿<サオ>(五十嵐さんが手に持っている棒状のもの)をいれて、ガラスを巻き取って頂き、その巻き取ったガラスを、参加者は順番に「ピンサー」というつまむ道具を使ってつついたり、ひっぱったりして、ガラスとはどんな素材かを体験しました。ぐにゃぐにゃとしていたガラスが、あっという間に固まって、堅くなってしまう変化の様子は、何度観ても驚きました!




ガラスが高温で真っ赤な状態のときはまるで水飴みたいに
伸び縮み自由自在でしたが、数秒であっという間に、
カチコチのガラスの固まりになってしまいました!


【体験2】
ガラスの造形・加工にはいろんな種類があるようですが、今回体験した「吹きガラス」とは、「溶解炉」でとけているガラスに息を入れて行う作業のことを意味するそうです。さっそく、吹きガラスのデモンストレーションを間近で見せて頂きました!



五十嵐さんの素早い手つきと、ガラスの一瞬の変化に、参加者一同目が釘付けです!自分にも制作出来るのかな、ドキドキです!?いよいよ次回のブログ記事では、デモンストレーション見学を経て行った、制作体験の様子をご報告致します!
どうぞ、お楽しみに!

2010年12月2日木曜日

『イベント報告 ICFA行事 小さな造形の旅~ガラス制作体験~』

11月23日(火・祝日)、ICFA行事「小さな造形の旅~ガラス制作体験~」を開催いたしました。「小さな旅」の名に相応しく、横浜から紅葉の色尽く千葉・成田市のガラス工房に向かい、ガラスという素材を使った、普段なかなか出来ない本格的な制作体験をじっくり行いました。

数週間に渡り、ブログではガラス制作を特集してきましたが、実際にやってみると驚きや発見ばかりでした!吹きガラス制作は、イゲタミレイさんのインタビュー記事にあったように、まさに「火の神様が降りて来たような瞬間」との戦いでした。瞬間でその形を変えるガラスにどう手を加えていくか、後戻りの出来ないガラス制作の緊張感と制作の喜びを味わうことが出来ました。

今回指導を務めてくださった『iGLASS STUDiO』の五十嵐さん、野口さんも驚く程、参加した全員の方が制作に興味津々で、楽しんでいた様子がとても印象的でした。
次回のブログでは、写真とともに制作体験の様子をお伝えいたしますので、お楽しみに!









2010年11月20日土曜日

『ガラス作家の創作活動に迫る!』


いよいよ、ICFA行事「小さな造形の旅~ガラス制作体験~」の開催が近づいてきました。

今回の企画・指導を担当するガラス作家イゲタミレイさんは、1989年に開港130周年記念横浜博覧会の壁画制作に関わったことがきっかけで、2010年よりICFAの理事・企画指導を務めています。「小さな造形の旅~ガラス制作体験~」開催直前記事といたしまして、イゲタミレイさんにガラス作家として、ガラスの魅力やガラスの制作を始めるきっかけなど創作活動について伺いました!

■ガラスを表現の手段として選んだきっかけはなんですか?

小さい頃からキラキラしたものが大好きでした。
広告の宝石の写真を切り抜いてあつめたり、石英の入った石ころを探してあつめたり、スイミングの時に水の中から見上げる水面が大好きで、水の中で上向きに沈んでずっと眺めていたりしました。
ガラスの持つ素材自体の魅力と、それを表現しきれない人の力の未熟さを常に感じつながら、少しでも近づけるといいなといつも思っています。



■どこでガラスを勉強したのですか?

多摩美術大学の立体デザイン学科クラフトデザインの中のガラスコースで学びました。
当時は大学でガラスのコースで吹きガラスの設備があるの大学は多摩美術大学だけでした。
大学の設備も最小限しかなく、入学しても1~2年生はガラスで何かを作ることはほとんどできず、吹きガラスの設備も3年生になってからやっと使える、というカリキュラムでした。
(私の場合は、幸い運良く2年生の時に新校舎・新工房が設立され、2年生の半ばからガラスに触れることができました。)
けれども、ガラスに触りたいけれどさわれない分、その間デザインの基礎をしっかり学ぶことができました。
立体デザイン学科の中にはプロダクトデザイン専攻と、インテリアデザイン専攻もあり、そういった目指すジャンルの違う友人達に囲まれて学ぶことができたのは今となってはとても貴重な経験です。

■どんな作品を制作しているのですか?毎回テーマなど変わるのですか?

両親が建築家、ということもあり、空間に対して、常にすごく興味を持っています。
器や、実用のもの、というものよりも、空間に対してアプローチできるような作品をつくりたいと思っています。
ガラスというのは、光を透過したり、屈折によって光をためこんでいるように見えたり、反射したり、光の様々な表情を変化させる素材だと思っています。
主にガラスを使って制作していますが、素材の力を出すという意味で他のいろいろな素材と組み合わせて作ったりもします。



■ガラスで制作するチャレンジはなんですか、そして優れた点はどこですか?

私は溶けているガラスが大好きです。溶けているガラスは重力や遠心力、といった自分ではコントロールしきれない力によって形を変化させていきます。
自分ですべてコントロールできない分、素材をじっくり観察し、素材の気持ちを考えてみたり、そうやって対話しながら制作するのです。
作業中のガラスの温度は測ることができないので、経験と勘でその状態を察し、手を加えて行くと、ガラスが形を変えて行く中で『今だ!』というような瞬間があります。
その、火の神様が降りて来たような瞬間はとてもぞくぞくします。
もちろん失敗も沢山ありますが、そういった失敗こそが次に自分の目指すものへのヒントとなり、イメージを形にすることができるようになると思っています。
その、なかなか思い通りにならないもどかしさ、こそがガラスで制作することの一番の魅力なのかもしれません。


「火の神様が降りて来たような瞬間」という表現から、ガラスという素材の瞬時の変化を一瞬で捉えて制作をする、その創造の喜びと挑戦が伝わってきます。今回の「ガラス制作体験」では、このような作家の視点からのガラスの魅力や作家の制作現場をお伝えできるかと思います。

2010年11月9日火曜日

「小さな造形の旅〜ガラス制作体験」


夏の猛暑の影響か、今年は紅葉の色づきが遅れているようです。
紅葉をはじめ、秋は楽しみが盛り沢山の季節ですね。


これまでスケッチの旅など、定期的に開催してきたICFAの行事ですが、今年の秋は「小さな造形の旅〜ガラス制作体験」を企画しました。

窓ガラス、電球、眼鏡、鏡、など、ガラスは私たちの身近に存在するのに、美しく透明で繊細なガラスという素材は、不思議な魅力を持っています。

家のグラスを集めてみただけで、ガラスの不思議がいっぱい詰まっています。
複雑なカットが入ったガラス。
色がついているガラス。
色の模様が入っているガラス。


このようにしてガラスのことを考えてみると、身近な素材であるガラスについて知らない事が多いことに気が付きました。

ガラスはどうして透明なんだろう?
ガラスは実は固体ではなく「液体」だというけど、本当?
ガラスはなんで割れるのか?
ガラスをふくらませるって、どういうことかな?

ガラスに関する本を読んでみると、今は私たちの日常に溢れているガラスも、およそ五千年前人類が初めてつくった物質で、昔は大変貴重で高価なものだった。美しいガラスをつくる技術はその国の富を示したものとのこと。



今回のガラス制作体験の副題のとおり「さわってみよう!ふくらませてみよう!ガラスってどんなだろう?!」いろんな疑問を、創造活動をとおして体験します。また、工房でガラス制作を体験出来るだけでなく、なかなか見ることが出来ない作家さんの制作現場を覗けるのも、この企画の楽しみの1つです。

ICFAは未来を担う子ども達に、豊かな創造体験の機会をつくる活動を行っています。バーチャルな体験が多くなってきている現代の子どもの世界。実際に素材に触れてみて感じること、自分でつくってみることで感じること、そういったものがとても大切な体験になると考え、このような機会を提供していきたいと思っています。

残念ながら今回参加出来ない方の為にも、ブログで「小さな造形の旅〜ガラス制作体験」の報告をいたしますので、こちらもお楽しみに!