12月10日(土)池袋にある帝京平成大学のキャンパスにて、日本ニュージーランド協会・日本ニュージーランド学会による合同研究会が開催されました。
日本におけるニュージーランド研究が盛んになるよう、定期的に開催されているこの合同研究会に、ICFAの西森禎子名誉会長が『世界のこどもの心を鷲づかみ!~ニュージーランドにおける児童壁画交流の試み』というタイトルで発表をおこないました。
スライドでは、画家としての活動、40年前にさかのぼる壁画交流の原点、ICFA立ち上げの経緯、児童絵画心理、過去の交流の紹介を行い、笑いあり、涙あり、の思い出深いエピソードの披露。また、これからニュージーランドでの交流に向けての意気込み、など情熱のこもった発表となりました。
特に西森先生の発表の中で印象的だったのは、のちにICFA設立のきっかけとなるハンガリーで1977年に開催された「日本、ハンガリー児童画合同展」のエピソードでした。訪れたハンガリーで子供たちと過ごした様子、当時の共産国の中にもかかわらず、笑顔あふれるこどもの様子など、写真をとおして貴重な体験を共有することができました。
また、1988年上海での壁画交流の際に、完成披露直前に日本人の子どもが描いたお城の絵に×印の落書きをされてしまった事件のエピソードでは、国と国との過去のいさかいがずっと人々の心に根ざしてしまうことの悲しさ、けれども落書きを必死に消そうとした中国人の先生の想いに、傷ついたであろう子供の心が少し癒され、個々のつながりが未来への希望となること、言葉をつまらせながら発表する西森先生に会場の参加者たちの心も揺さぶられました。
色とりどりの子供たちの創造の世界。
国を越えて造形美術をとおして、子供たちの交流を図る活動。
西森先生の熱く発せられる言葉が聞く者の心を鷲づかみにする、芸術家らしい発表だったと思います。
スタッフでも、断片的に聞いていたエピソードや、部分的には知っている活動もありましたが、今回改めて古い資料を掘り出した中で見つかった過去の交流の写真などでは、やはり百聞は一見にしかず、とても心をゆさぶられるものでした。
ICFAの活動は、ものすごく大きなことではないかもしれないけれど、一人一人の子供の心に、小さくても確実に種をまいてきた活動。世界中の子供たちの心に、これからも国を越えた未来への種をまいていきたい、そんなふうに感じさせてもらいました。
遠いところ、ICFAの会員の方が多数駆けつけ下さいました。
次号のICFA通信にて、ご報告出来ればと思います。